乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)
犬のはなし 2018年08月01日
乳腺にできる腫瘍で、中高齢のメスのワンちゃんに多い病気です。
胸やおなかに「しこり」ができます(複数できることも)。
悪性の腫瘍であれば、出血や壊死を起こしたり、
リンパ節や肺などへ転移する場合もあります。
治療は、手術で腫瘍を切除する必要がありますが、
悪性の場合には、抗癌剤や放射線治療が必要になることもあります。
写真のワンちゃんは胸から下腹部の広い範囲に、
肉眼でもわかる大きなしこりが多数できていました。
悪性の乳ガンで、リンパ節にも転移していました。
他院で以前から内科治療を受けていたものの良くならず、
高齢のため手術もできないと言われ、当院を受診されました。
食欲がなく体重と元気も日に日に落ちていたようです。
エコー検査で、おなかの中(卵巣)にも大きな腫瘍が見つかりました。
(右の卵巣の腫瘍)
(左の卵巣の腫瘍)
腫瘍はおなかの中で転移して、腹膜炎をおこしています。
ご家族と相談のうえ手術することになりました。
( 卵巣の腫瘍)
(腸間膜に播種・転移した腫瘍)
手術では、おなかの中の腫瘍を卵巣と子宮ごとすべて摘出し、
乳ガンは左右両側の乳腺を腫瘍ごとすべて切除しました。
(手術後の様子)
10歳を過ぎたワンちゃんですが、よく頑張ってくれました。
手術後すぐに食欲は戻り、抗癌剤治療を受けながら、
1年以上たった今も元気に生活してくれています。
乳腺腫瘍は若いうちに避妊手術をすることで予防のできる腫瘍です。
また、仮に腫瘍ができた場合でも「早期発見、早期治療」が大切です。
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