チャオ通信

  • 会陰(えいん)ヘルニア

    犬のはなし 猫のはなし 2018年06月05日

     

     

    お尻のまわり(会陰)の筋肉が薄くなり、筋肉の隙間から、

     

     

    おなかの臓器や脂肪が飛び出す(ヘルニア)病気です。

     

     

    症状はさまざまですが、見た目でお尻のまわりが膨らみます。

     

     

    その他、便や尿が出にくくなるなどの症状もあります。

     

     

     

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    写真のワンちゃんは、お尻の右側がぽこっと膨れています。

     

     

    毛を刈るとよくわかります ↓

     

     

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    ヘルニアは両側に発生することもあります。

     

     

    治療は多くの場合、飛び出した臓器を元に戻し、

     

     

    あいた筋肉の隙間を縫い閉じる手術が必要になります。

     

     

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    (飛び出していた内臓脂肪)

     

     

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    (あいた筋肉の隙間を閉じるところ)

     

     

    この病気の発生には男性ホルモンが影響するため、

     

     

    去勢していない雄のワンちゃんは去勢手術も同時に行います。

     

     

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    (手術後の様子)

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    高齢になって便がしづらいなどの症状が見られた場合は、

     

     

    動物病院を受診されることをおすすめいたします。

     

     

    写真のワンちゃんも手術後は元気に過ごしてくれています。

     

     

     

     

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  • 踵骨(しょうこつ)骨折

    犬のはなし 2018年05月14日

     

     

    踵骨とは「かかと」の骨です。

     

     

    ワンちゃんのかかとは私たち人間のように接地していません。

     

     

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    (矢印の位置がかかと/点線がアキレス腱)

     

     

    今回は、室内で突然足をあげて痛がるというワンちゃんです。

     

     

    主治医の先生のご紹介で来られました。

     

     

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    レントゲン検査で踵骨を骨折していることがわかりました。

     

     

    このままでは歩けませんので手術となりました。

     

     

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    手術後はしばらく安静ですが、骨が治れば日常生活に戻れます。

     

     

    写真のワンちゃんも今は元気に走り回っています。

     

     

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  • 胃拡張-胃捻転(いかくちょういねんてん)症候群

    犬のはなし 2018年05月01日

     

     

    胃が突然 ねじれ(捻転)を起こし、食べた物やガスが胃から流れ出なくなり、

     

     

    過度に胃が膨らむ(拡張)ことで、ショック状態に陥ってしまう病気です。

     

     

    急速に致命的な状態に進行しますので、早急な治療が求められます。

     

     

    今回は食後、急にぐったりして、よだれが止まらない大型犬のワンちゃんです。

     

     

    夜間に救急 で来られました。

     

     

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    (ガスが充満しねじれた胃)

     

     

    はっきりとした原因は不明ですが、大型犬に多く、

     

     

    吐こうとするのに吐けない、よだれなどの症状がみられます。

     

     

    写真のワンちゃんは不整脈も出ており危険な状態でした。

     

     

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    治療は、まず胃の中のガスを抜き、点滴など全身状態を安定化します。

     

     

    次に、手術で胃の捻じれを解除し、再び胃の捻じれが起きないように、

     

     

    胃の一部をおなかの中に縫いつけ、固定します(胃腹壁固定術)。

     

     

    写真のワンちゃんも緊急手術を行い、退院後は元気に生活しています。

     

     

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  • フィラリア予防

    犬のはなし 2018年04月01日

     

     

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    フィラリア症は蚊が媒介する病気です。

     

     

    犬の心臓や肺に寄生虫が住みつき、心不全などを起こす怖い病気です。

     

     

    お薬で予防できますが、もしフィラリアに感染した状態で薬を投与すると、

     

     

    ショック症状を起こすことがあり大変危険です。

     

     

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    (赤線2本が陽性 / 感染あり)

     

     

    写真のワンちゃんは去年の春の検査で陽性がでました。

     

     

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    (血液中に寄生したフィラリアの幼虫)

     

     

    薬の投与し忘れなどによって知らない間に、

     

     

    フィラリアに寄生している、というケースが稀にあります。

     

     

    フィラリア予防の前には検査をお忘れなく。

     

     

    フィラリア検査は数滴の血液で簡単に行えます。

     

     

    予防薬は、錠剤以外にもクッキーやお肉タイプのもの、外用薬などあります。

     

     

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  • 肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)

    犬のはなし 2018年03月24日

     

     

    肛門の周りやシッポの付け根などにできる腫瘍です。

     

     

    腫瘍のできる場所が肛門に近いため、出血や化膿したり、

     

     

    大きくなると排便障害をおこすこともあります。

     

     

    今回は、便しづらそう、お尻を擦って出血するというワンちゃんです。

     

     

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    (肛門に被った腫瘍/黒い部分は出血痕)

     

     

    腫瘍が大きくなるほど、手術の際に肛門括約筋を痛めるリスクがあり、

     

     

    そのためにも早期に発見して治療することが重要です。

     

     

    多くの場合、手術によって腫瘍を摘出します。

     

     

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    治療後は排便もスムーズになり、お尻を気にすることもありません。

     

     

    腫瘍の発生に男性ホルモンが関与しているため、

     

     

    去勢していないワンちゃんでは去勢を同時に行うことが一般的です。

     

     

     

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  • 潜在精巣(せんざいせいそう)

    犬のはなし 2018年03月07日

     

     

    通常、犬の精巣は生後1ヶ月頃までに陰嚢(いんのう)に降りてきます。

     

     

    片側もしくは両側の精巣が正常に陰嚢まで降りず、おなかの中や、

     

     

    内股(そけい部)にとどまってしまった状態のことをいいます。

     

     

    停留精巣(ていりゅうせいそう)、陰睾(いんこう)とも呼びます。

     

     

    潜在精巣では腫瘍の発生率が高いため、去勢手術をおすすめしています。

     

     

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    (腹腔内の潜在精巣)

     

     

    写真は大型犬のワンちゃんで、片側が正常、反対側が潜在精巣でした。

     

     

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    (写真(右)が潜在精巣)

     

     

    潜在精巣は遺伝するため繁殖に用いないことが重要です。

     

     

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  • 脾臓(ひぞう)腫瘍

    犬のはなし 2018年01月31日

     

     

    脾臓は胃のうしろにあって、古い赤血球をこわしたり、抗体を作ったり、

     

     

    新しい血液を貯めるはたらきをする臓器です。

     

     

    今回は元気がなくお腹が腫れている、という大型犬のワンちゃんです。

     

     

    夜間に救急 で来られました。

     

     

    レントゲンや超音波検査で脾臓に大きな腫瘤が見つかりました。

     

     

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    (点線が脾臓の腫瘤)

     

     

    脾臓は多くの血液を貯めているので、腫瘍が仮に良性でも、

     

     

    破裂した場合、おなかの中で致命的な出血を起こす危険性があります。

     

     

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    (矢印が脾臓にできたソフトボールほどの大きさの腫瘍)

     

     

    写真のワンちゃんは腹腔内出血と貧血があり、輸血後に手術となりました。

     

     

    腫瘍は幸い良性で手術後は元気に退院しました。

     

     

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  • 心タンポナーデ

    犬のはなし 2018年01月23日

     

     

    心臓を覆っている心膜(しんまく)と心臓の隙間に、

     

     

    心嚢水(しんのうすい)と呼ばれる液体が異常に貯まることで、

     

     

    心臓が圧迫されて働きが障害されてしまう病気です。

     

     

    突然の心停止を引き起こす場合があり緊急的な処置が必要です。

     

     

    今回は、数日前から吐く、息苦しそうというワンちゃんです。

     

     

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    エコーを見ると心臓のまわりに大量の液体(矢印の黒い部分)が貯まっています。

     

     

    検査を行い原因を探しますが、原因不明(特発性)のこともあります。

     

     

    貯まった液体は、緊急的に針をさして抜く処置(心膜穿刺)が必要です。

     

     

    169--01_20171002_Pediatric-_Heart_0003(抜いたあとのエコー写真)

    IMG_1931(貯まっていた心嚢水)

     

     

    心嚢水は一度抜いてもまた貯まってしまうことがあり、

     

     

    慎重に経過をみていく必要があります。

     

     

    写真のワンちゃんは一度抜いたあとは元気に過ごしています。

     

     

     

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  • 子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)

    犬のはなし 2017年12月25日

     

     

    子宮内に細菌が感染し、膿(うみ)が溜まってしまう病気です。

     

     

    陰部から膿が出る、食欲がない、水をたくさん飲む等の症状で気づかれることが多いです。

     

     

    超音波(エコー)検査などで診断ができます。

     

     

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    (矢印:膿がたまって腫れた子宮)

     

     

    治療は、多くの場合、子宮と卵巣を摘出する手術が必要になります。

     

     

    治療が遅れると重症化し、腹膜炎や敗血症、貧血、腎不全などを起こす怖い病気です。

     

     

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    避妊手術を受けていない中高齢のワンちゃんは注意が必要です。

     

     

    写真のワンちゃんも手術後数日で元気に退院しました。

     

     

     

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  • 誤食(ごしょく)

    犬のはなし 2017年12月01日

     

     

    ワンちゃんの誤食(食べてはいけないものを食べてしまう)は非常に多いです。

     

     

    今回は、子供さんの「おもちゃのボール」を飲み込んだワンちゃんです。

     

     

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    油断したスキにくわえていて、誤って飲み込んでしまったようです。

     

     

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    (点線が胃の中の異物)

     

     

    誤食の内容にもよりますが、吐かせることができる物なら吐かせる処置をします。

     

     

    それでも出ない場合には手術や内視鏡(胃カメラ)などが必要になります。

     

     

    誤食には十分注意したいですね。

     

     

    写真のワンちゃんも手術(胃切開)でボールを取り出し、数日後には元気に退院しました。

     

     

     

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