チャオ通信

  • 尿路結石

    犬のはなし 2018年11月07日

     

     

    <どんな病気?>

     

     

    腎臓で作られた尿は、尿路(腎臓→尿管→膀胱→尿道)を通り、体外へ排出されます。

     

     

    尿路に結石ができる病気が尿路結石症で、人と同様ワンちゃんにも起こる病気です。

     

     

    結石ができる場所によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。

     

     

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    数日前から元気、食欲がないというワンちゃんが来院されました。

     

     

    身体検査でお腹を触ると腹部が強く張っていて、

     

     

    膀胱の中に大量の尿がたまっている様子で、本人もぐったりしています。

     

     

    排尿したくても自力で尿を出せない状態のようです。

     

     

    尿を抜くために、陰茎の先から膀胱へカテーテル(細い管)を入れますが全く進みません。

     

     

    緊急的にお腹の外側から膀胱に細い針をさして尿を抜きました。

     

     

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    (尿道結石/黄色枠の小さな粒状)

     

     

    レントゲンとエコー検査で、尿道(陰茎から膀胱の間)と膀胱、

     

     

    それぞれに大量の結石が詰まっているのがわかりました。

     

     

    結石によって尿路がふさがってしまうと激しい痛みを伴い、

     

     

    閉塞が長く続くと腎臓の機能にダメージを与えます。

     

     

    また、細菌感染を合併すると高熱がでます。

     

     

    治療としては、外科的に結石を取り除く必要があります。

     

     

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    今回は、膀胱、尿道の一部をそれぞれ切開して、結石を取り除きました。

     

     

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    写真は取り出した結石の一部で、これの倍近い数の結石が、

     

     

    尿道に栓をするような状態でびっしり詰まっていました。

     

     

    これだけ詰まっていたら相当辛かっただろうと思います。

     

     

    幸い手術後は体調もすぐに戻り退院できました。

     

     

    結石は検査センターに提出して、その成分を調べてもらいます。

     

     

    結石の種類によっては、食事やサプリメントでの予防ができる場合もあります。

     

     

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    <結石ができる原因は?>

     

     

    尿路結石症全体のほとんどは原因不明です。

     

     

    尿中のカルシウム、シュウ酸、尿酸などの過剰、

     

     

    結石を抑制する物質(マグネシウム、クエン酸)の減少、

     

     

    尿路感染、尿路奇形、尿の停滞、動物性タンパク質の過剰摂取、水分摂取不足など

     

     

    多くの素因が複雑に関与していると考えられています。

     

     

    水分の摂取量が減る冬場は特に注意が必要です。

     

     

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