チャオ通信

  • GWは熱中症に注意

    犬のはなし 2019年04月30日

     

     

    ワンちゃんの熱中症はひと昔前に比べると劇的に減りました。

     

     

    ご家族のみなさんのご注意の賜物と思いますが、

     

     

    それでも毎年数頭の熱中症のワンちゃんに遭遇します。

     

     

    とくに気をつけたいのが行楽シーズンの“いま頃”です。

     

     

    ワンちゃんと一緒に旅行やレジャーという方も多いと思いますが、

     

     

    車での移動ではとくに注意してあげる必要があります。

     

     

    というのも、真夏はみなさん十分気をつけられるので、

     

     

    トラブルもほとんどおこらないのですが、

     

     

    いまの時期は「短時間なら大丈夫だろう」という油断があり、

     

     

    ワンちゃんを車内で留守番させたまま休憩等に行かれるケースが多く、

     

     

    わずか数分の間に車内の温度、湿度が上がり熱中症になってしまうようです。

     

     

    今の時期でも、よく晴れた日中は車内は相当暑くなります。

     

     

    院長が過去に勤めていた病院のすぐ隣には大規模な観光施設があり、

     

     

    連休や土日には遠方からもたくさんの方が来られていましたが、

     

     

    「昼食から戻ったらワンちゃんがぐったりして動かない!」と、

     

     

    救急で運ばれてくるケースが非常に多かったです。

     

     

    どうしてもワンちゃんを車内で留守番させる際には、

     

     

    エアコンをつけたままにするなどしてあげてください。

     

     

    人もワンちゃんもこまめな水分補給と休憩で、

     

     

    安心安全な行楽シーズンをお過ごしください。

     

     

    ワンちゃんの熱中症の症状や、対策、予防などは順次ご紹介します。

     

     

     

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  • 肛門周囲腺腫

    犬のはなし 2019年04月23日

     

     

    肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)は、

     

     

    ワンちゃんの肛門の周りやその周辺の皮膚にできる腫瘍です。

     

     

    雄のワンちゃんの中では比較的多い腫瘍です。

     

     

    今回は、2-3ヶ月前からお尻にできものができて、

     

     

    そこから出血して気にしているというワンちゃんです。

     

     

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    黄色枠が腫瘍。表面がじゅくついて化膿していました。

     

     

    高齢のため手術できないと言われて当院へ来られました。

     

     

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    この腫瘍は去勢をしていない中高齢のワンちゃんに多く見られます。

     

     

    ご家族と相談のうえ手術をすることになりました。

     

     

    手術後の再発のリスクを減らす目的で、

     

     

    腫瘍の切除手術と同時に、去勢手術も行うことが一般的です。

     

     

    下腹部にも腫瘍(黄色丸印)ができていましたが、これは別の良性腫瘍でした。

     

     

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    傷も順調に治り元気に帰ってくれました。

     

     

    この腫瘍自体は良性の腫瘍ですが、

     

     

    腫瘍が大きくなると排便障害を起こしたり、

     

     

    手術後に後遺症が残ってしまったりと侮れません。

     

     

    小さなしこりでも気づいた時は早めの受診が大切です。

     

     

    また、若いうちに去勢手術をしておくことで、

     

     

    将来の発生リスクを下げられる腫瘍でもあります。

     

     

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  • 中手骨骨折

    犬のはなし 2019年04月19日

     

     

    犬の中手骨(ちゅうしゅこつ)は前足の手の甲の部分の骨です。

     

     

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    矢印あたりの骨になります。

     

     

    今回のワンちゃんは、自宅の階段から飛び降りた後、

     

     

    前足を全く着けなくなったとのことで、

     

     

    休診日に救急外来 で来られました。

     

     

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    レントゲン検査で、中手骨のうち2本を骨折していることがわかりました。

     

     

    骨のズレが小さいため、外固定(ギプス)での治療となりました。

     

     

    幸い他の場所に怪我はありませんでした。

     

     

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    年齢も若いため1ヶ月後には骨も治り元気に走ってくれました。

     

     

    骨折の治療も手術だけでなく、状況に合わせた選択が必要です。

     

     

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  • 義眼挿入術

    犬のはなし 2019年04月13日

     

     

    義眼(ぎがん)挿入術はワンちゃんの緑内障治療のひとつです。

     

     

    数週間前から左目が赤く、開けづらそうというワンちゃんが来院されました。

     

     

    11.09.11Lのコピー

     

     

    両目とも白内障がかなり進行した状態で、

     

     

    左目は白内障が原因でおこる眼内の強い炎症により、

     

     

    緑内障を起こしていてすでに視覚はありませんでした。

     

     

    眼圧も非常に高く、痛みにより元気がない状態が続いていました。

     

     

    目薬や飲み薬による治療での眼圧の上昇を抑えることが難しく、

     

     

    ご家族と相談のうえ、義眼を入れる手術を行うことになりました。

     

     

     

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    手術後の写真です。

     

     

     

     

    12.03.18のコピー

     

     

    高眼圧による痛みや目薬のストレスから解放され、

     

     

    見た目の変化も少ないのがこの手術の利点です。

     

     

     

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  • 胆石(たんせき)症

    犬のはなし 2019年04月06日

     

     

    胆石は、胆のうの中にできた結石のことです。

     

     

    肝臓で作られた胆汁(たんじゅう)と呼ばれる消化液は、

     

     

    胆のうで一時的に貯蔵、濃縮され小腸に排出されます。

     

     

    この胆汁が胆のうの中でうっ滞したり、細菌感染を起こすと、

     

     

    結晶化して結石(胆石)ができると考えられています。

     

     

    タマル クシュト 腹部RL

     

     

    ↑ は、うちの初代ダックスのおなかのレントゲンです。

     

     

    当時13歳で、食欲ムラや時折吐くことがあり、

     

     

    検査したところ大量の胆石が見つかりました。

     

     

    胆石や胆泥が、胆汁の通り道である胆管につまる、

     

     

    「胆管閉塞」のリスクがあると判断し、

     

     

    手術によって胆のうを切除することになりました。

     

     

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    切除した胆のうです。

     

     

    胆のうを開いてみると…

     

     

    クシュトのコピー

     

     

    50以上の胆石が出てきました。

     

     

    手術後は食欲も嘘のように出てきて、嘔吐もなくなりました。

     

     

    嘔吐は胆のう炎や胆管炎を繰り返していたことが原因だったようです。

     

     

    その後、4年頑張ってくれて17歳まで長生きしてくれました!

     

     

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    手術後の写真です。

     

     

    少し痛々しい感じがしますが、痛み止めの内服で、

     

     

    手術の翌朝には食事もとってくれました。

     

     

    人では胆石による「痛み」があるそうですが、

     

     

    ワンちゃんは痛みを表に出さないため、

     

     

    私たち家族が小さなサインを見逃さないことも大切かもしれません。

     

     

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  • 橈尺骨骨折

    犬のはなし 2019年02月01日

     

     

    橈尺骨は前足の肘から手首までの部分の骨です。

     

     

    橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の2本の骨で構成されています。

     

     

    人も同じです。wikipediaに載っています。

     

     

     

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    今回は散歩中に突然、前足をつけなくなった小型犬のワンちゃんです。

     

     

     

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    段差を飛び越えようとしたところ着地に失敗したようです。

     

     

     

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    休診日に救急外来 で受診されたため、

     

     

    応急的にギプスで固定したのち、手術となりました。

     

     

     

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    インプラントを使って固定しました。

     

     

     

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    インプラントは骨の治り具合を見ながら徐々に外していきますが、

     

     

    インプラント全てを外す場合と、一部は残しておく場合と、

     

     

    骨折の状況や動物の年齢、性格などで決めていきます。

     

     

    手術に使用するインプラントは全て動物医療用のものです。

     

     

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    小型犬(とくにトイプードルなど)の橈尺骨は非常に細く、

     

     

    ソファから飛び降りたなどの些細な衝撃でも折れてしまうことがあります。

     

     

    ワンちゃんの骨折のうち、最も多いのがこの橈尺骨の骨折です。

     

     

    飼い主さんが抱いていて落下したケースも多く注意が必要です。

     

     

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  • 巨大食道症

    犬のはなし 2019年01月07日

     

     

    巨大食道(きょだいしょくどう)症は、食道が何らかの原因で拡張する病気で、

     

     

    食べたものを胃に送り込めなくなり、吐くといった症状を引き起こします。

     

     

    先天性の場合と後天性の場合がありますが、

     

     

    後天性の場合には、神経や筋肉の病気(重症筋無力症など)、

     

     

    食道の閉塞性疾患(ガンや異物など)などから続発することが多いようです。

     

     

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    食べたものをすぐに吐いてしまう「吐出(としゅつ)」が起こりますので、

     

     

    徐々に痩せてきたり、誤嚥すると気管支炎や肺炎を起こすこともあり、

     

     

    酷いケースでは進行性に悪化し、死に至ることもあります。

     

     

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    診断は上の写真のように造影剤を飲ませてからレントゲン検査を行います。

     

     

    造影剤のたまっている部分が拡張した異常な食道です。

     

     

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    今回のワンちゃん(ダックス)は重症筋無力症に続発した巨大食道症でした。

     

     

    原因となる疾患があればその治療を行いますが、

     

     

    「吐出」を防ぐために、ワンちゃんを立たせた姿勢で食事を与え、

     

     

    食後もしばらくは立たせたままにする必要があります。

     

     

    また、肺炎などがあれば抗生剤などのお薬も必要になります。

     

     

    発症のメカニズムが不明なことが多く、治療が難しい病気です。

     

     

     

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  • 腎臓(じんぞう)腫瘍

    犬のはなし 2018年11月30日

     

     

    腎臓は老廃物を体から追い出したり(尿)、血圧の調整をしたり、

     

     

    血液をつくる司令塔の役目…など様々な働きをする臓器です。

     

     

    今回は、数日前から食欲がない、吐くというワンちゃんです。

     

     

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    検査で、腎臓にできた腫瘍(点線枠 | 矢印)が見つかりました。

     

     

    腎臓腫瘍では、食欲不振、嘔吐、腹痛などが見られることがありますが、

     

     

    症状がなく健康診断などで偶然見つかることもあります。

     

     

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    腫瘍は生検などの病理検査で診断します。

     

     

    治療は腫瘍によって様々ですが、手術が必要になることもあります。

     

     

    今回のワンちゃんは腫瘍が大きく、破裂、出血の危険性を考慮し、

     

     

    反対側の腎臓に異常がないことを確認したのち、

     

     

    腫瘍のある側の腎臓全体を切除する手術を行いました。

     

     

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    (点線枠が腫瘍。大きくて表面がもろい)

     

     

    幸い腫瘍は良性で手術後は元気に生活しています。

     

     

     

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  • 尿路結石

    犬のはなし 2018年11月07日

     

     

    <どんな病気?>

     

     

    腎臓で作られた尿は、尿路(腎臓→尿管→膀胱→尿道)を通り、体外へ排出されます。

     

     

    尿路に結石ができる病気が尿路結石症で、人と同様ワンちゃんにも起こる病気です。

     

     

    結石ができる場所によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石と呼ばれます。

     

     

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    数日前から元気、食欲がないというワンちゃんが来院されました。

     

     

    身体検査でお腹を触ると腹部が強く張っていて、

     

     

    膀胱の中に大量の尿がたまっている様子で、本人もぐったりしています。

     

     

    排尿したくても自力で尿を出せない状態のようです。

     

     

    尿を抜くために、陰茎の先から膀胱へカテーテル(細い管)を入れますが全く進みません。

     

     

    緊急的にお腹の外側から膀胱に細い針をさして尿を抜きました。

     

     

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    (尿道結石/黄色枠の小さな粒状)

     

     

    レントゲンとエコー検査で、尿道(陰茎から膀胱の間)と膀胱、

     

     

    それぞれに大量の結石が詰まっているのがわかりました。

     

     

    結石によって尿路がふさがってしまうと激しい痛みを伴い、

     

     

    閉塞が長く続くと腎臓の機能にダメージを与えます。

     

     

    また、細菌感染を合併すると高熱がでます。

     

     

    治療としては、外科的に結石を取り除く必要があります。

     

     

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    今回は、膀胱、尿道の一部をそれぞれ切開して、結石を取り除きました。

     

     

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    写真は取り出した結石の一部で、これの倍近い数の結石が、

     

     

    尿道に栓をするような状態でびっしり詰まっていました。

     

     

    これだけ詰まっていたら相当辛かっただろうと思います。

     

     

    幸い手術後は体調もすぐに戻り退院できました。

     

     

    結石は検査センターに提出して、その成分を調べてもらいます。

     

     

    結石の種類によっては、食事やサプリメントでの予防ができる場合もあります。

     

     

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    <結石ができる原因は?>

     

     

    尿路結石症全体のほとんどは原因不明です。

     

     

    尿中のカルシウム、シュウ酸、尿酸などの過剰、

     

     

    結石を抑制する物質(マグネシウム、クエン酸)の減少、

     

     

    尿路感染、尿路奇形、尿の停滞、動物性タンパク質の過剰摂取、水分摂取不足など

     

     

    多くの素因が複雑に関与していると考えられています。

     

     

    水分の摂取量が減る冬場は特に注意が必要です。

     

     

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  • 橈尺骨(とうしゃっこつ)骨折

    犬のはなし 2018年10月05日

     

     

    橈尺骨は肘から手首までの前腕部の骨です。

     

     

    橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の2本の骨で構成されています。

     

     

    今回は室内で滑ったあとから前足をつけなくなった小型犬のワンちゃんです。

     

     

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    橈尺骨(手首に近い部分)が骨折しているのがわかります。

     

     

    折れた骨が皮膚を突き破ってしまいそうな危険な状態です。

     

     

    夜間に救急外来 で受診されたため、

     

     

    応急的にギプスで固定したのち、手術となりました。

     

     

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    インプラントを使って固定しました。

     

     

    翌日には足をついて少しずつ歩けるようになりました。

     

     

    インプラントは骨の治り具合を見ながら少しずつ外していきます。

     

     

    小型犬(とくにトイプードルなど)の橈骨尺骨は非常に細く、

     

     

    ソファから飛び降りたなどの些細な衝撃でも折れてしまうことがあります。

     

     

    ワンちゃんの骨折のうち、最も頻度が多いのがこの橈尺骨の骨折です。

     

     

    飼い主さんが抱いていて落下したケースも多く注意が必要です。

     

     

     

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