チャオ通信

  • 脛骨粗面剥離骨折

    猫のはなし 2019年04月15日

     

     

    脛骨粗面(けいこつそめん)はスネの骨の一部分の名称で、

     

     

    膝蓋靭帯が付着するために表面がざらざらしていて、

     

     

    粗面(そめん)と呼ばれています。

     

     

    IMG_3535

     

    (正常なレントゲン)

     

     

    矢印の部分が脛骨粗面です。

     

     

    骨に隙間があいているように見えますが、

     

     

    これは成長板(せいちょうばん)と呼ばれるもので、

     

     

    成長期が終わると閉じる部分です。

     

     

    数日前から後ろ足を着けなくなった子猫ちゃんが、

     

     

    安静と鎮痛剤で改善がないとのことで、

     

     

    主治医の先生のご紹介で来られました。

     

     

    IMG_3536

     

     

    正常なレントゲンと比べると脛骨粗面の部分が浮いているように見えます。

     

     

    膝を曲げた状態でないと診断しづらい箇所です。

     

     

    成長期におこる脛骨粗面の剥離骨折と診断し、

     

     

    ご家族と相談のうえ手術となりました。

     

     

    IMG_3602

     

     

    手術の翌日には足をついて元気よく歩いてくれました。

     

     

    骨が治ったらピンとワイヤーは取り外します。

     

     

     

    *******************************************************

     

     

     

     

     

     

     

     

  • 春の健康診断

    猫のはなし 2019年03月18日

     

     

    ワンちゃんのフィラリア予防シーズンが始まり、

     

     

    ワンちゃんはこの時期に血液検査を受ける機会があるのですが、

     

     

    猫ちゃんの飼い主さまから「猫は血液検査ないの?」

     

     

    というお問い合わせをよくいただいております。

     

     

    猫ちゃんはワンちゃんに比べると病院に行く機会が少なく、

     

     

    なかなか健診を…という流れになりにくいです😓

     

     

    IMG_2719

     

     

     

     

     

    *  *  *  *  *  *  *

     

     

     

     

    そこで、3~6月の期間中、猫ちゃんも健診として、

     

     

    血液検査を受けていただけるサービスを開始いたしました。

     

     

     

     

    スクリーンショット 2019-03-20 10.12.54

     

     

    IMG_4473

     

     

     

    ↑ の検査結果はうちの猫の健診の結果です。

     

     

    肝臓、腎臓や血糖値、蛋白、貧血の有無など広範囲の検査が可能です。

     

     

    検査費用は下記の通りです。

     

     

     

     

     

    ■ 血液化学検査16項目 + CBC  ; 5,000円

     

     

     

     

     

    ご希望の方は、「春の健診希望」とスタッフへお伝えください。

     

     

    検査結果は「後日のお知らせ」となります。

     

     

     

    ***********************************************

     

     

     

     

     

     

     

     

  • ウイルス性結膜炎

    猫のはなし 2019年01月15日

     

     

    ネコちゃんの結膜炎は、主にヘルペスウイルスやカリシウイルスなどの、

     

     

    いわゆる猫風邪ウイルスが原因となって発症することがあります。

     

     

    飼い主さんが気づかれる症状としては、涙目、目の充血、目ヤニ、

     

     

    目が開けづらそう、といった症状が多いようです。

     

     

     

    DSC03298a

    (来院初日)

     

     

     

    今回のネコちゃんは、新しく飼い始めた子猫ちゃんが来たあとから、

     

     

    涙や目ヤニの症状が始まったとのことで、子猫ちゃんの猫風邪がうつったものと思われます。

     

     

    1ヶ月ほど治療を受けているが改善がない、ということで当院を受診されました。

     

     

     

    DSC03297

    (来院初日)

     

     

    来院時、結膜は赤く腫れ上がり、目ヤニが酷く、目はほとんど開けられない状態で、

     

     

    感染を起こした角膜(黒目の表面)は傷んで、穴が空きそうな状態(角膜潰瘍)でした。

     

     

    ↑ の写真で黄色く染まった場所が角膜潰瘍をおこした部分。

     

     

    治療は、症状によって様々ですが、目薬や内服薬などが必要になります。

     

     

     

    DSC03308

    (6日目)

     

     

     

    治療を始めて1週間ほどで角膜の傷が治りはじめて、

     

     

    少しずつ目も開けられるようになりました。

     

     

     

    DSC03400

    (30日目)

     

     

     

    1ヶ月ほどで角膜表面に傷の名残り(くすんだように見える部分)はあるものの、

     

     

    以前と変わらない綺麗な目に戻ることができました。

     

     

    猫風邪ウイルスは目の症状のほかにも、鼻水やくしゃみなどの鼻炎や、

     

     

    口内炎、発熱や食欲不振など、様々な症状を引き起こします。

     

     

    virus

     

     

    また、ウイルスは厄介なことに、一度ネコちゃんの体内に入ると、

     

     

    なかなか出て行かないため、体調や環境の変化、季節の変わり目などに、

     

     

    症状の再発を繰り返す、といったケースが多いようです。

     

     

    ウイルス自体の感染力が強く、猫同士であっという間に拡がるため、

     

     

    とくに多頭飼育のご家庭では、十分な注意が必要です。

     

     

    定期的なワクチン接種は、猫風邪の予防や、

     

     

    万一、感染した時の症状を軽くするためにも重要です。

     

     

     

    **********************************************************

     

     

     

     

     

     

     

     

  • 中足足根関節脱臼

    猫のはなし 2018年10月31日

     

     

    中足足根(ちゅうそく-そっこん)関節は「足の甲」の骨の関節です。

     

     

    猫でいうと↓の写真の部分(黄色枠)になります。

     

     

    IMG_4079

     

     

    今回は自宅の高所から飛び降りた際に、

     

     

    後ろ足を着けなくなってしまった猫ちゃんです😿

     

     

    かかりつけの先生のご紹介で来院されました。

     

     

    IMG_4075 IMG_4072

     

     

    レントゲン検査で、後ろ足の中足足根関節を脱臼していることがわかりました。

     

     

    足の甲の骨の人差し指と中指に当たる部分が脱臼しています。

     

     

    ちなみに正常な子のレントゲンは ↓ のような感じです。

     

    IMG_4076 IMG_4078

     

     

    このままでは歩けませんので手術となりました。

     

     

    髄内ピンという装置で脱臼箇所を整復し、外固定(ギプス)をしました。

     

     

    image2 image3

     

     

    手術後はすぐに歩けるようになりますが、しばらく安静が必要です。

     

     

    脱臼部分が治った後、髄内ピンは取り外しました。

     

     

    とても性格の良い猫ちゃんで、治療もスムーズでした。

     

     

    *********************************************

     

     

     

     

     

     

  • 眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)

    猫のはなし 2018年09月11日

     

     

    まぶた(眼瞼)が内側に巻き込むことによって発生する病気です。

     

     

    “まぶた”や“まつ毛” が常に目の表面をこするため、角膜炎や結膜炎を起こし、

     

     

    痛みや不快感、目ヤニ、涙などさまざまな症状を伴います。

     

     

    写真の猫ちゃんは、両目がほとんど開けられず痛そう、とのことで来院されました。

     

     

    17.07.28.OD

    (右目)

    17.07.28OS

    (左目)

     

     

    両目とも下まぶたが巻き込んでしまい、目の表面(角膜)に傷ができ、

     

     

    痛みから目を正常に開くことができなくなっています。

     

     

    とくに左目は傷の状態がひどく、角膜は白く濁り一部は黒く色素沈着をおこしています。

    (角膜黒色壊死症)

     

     

    17.08.02.OS

     

     

    ちなみに下の写真は、正常な猫の目(まぶた)の写真です。

     

     

    IMG_2374

     

     

    治療方法ですが…

     

     

    内反の程度が軽ければ点眼や“まつ毛”を抜くことで治療しますが、

     

     

    重度の内反症では、手術による“まぶたの矯正”が必要になります。

     

     

    写真の猫ちゃんは点眼治療を長期間続けたものの治りが芳しくなく、

     

     

    当院の 眼科外来 を受診され、ご相談のうえ手術となりました。

     

     

    IMG_3928

     

     

    手術は両目のまぶたを同時に行いました。

     

     

    DSC03055

    (左目)

     

    DSC03056

    (右目)

     

     

    写真は手術後の目の様子です。

     

     

    DSC03052

     

     

    目もぱっちり開くことができ、角膜の傷もきれいに治りました。

     

     

    まぶたの様子がおかしい、上記の症状があるなどの場合には注意が必要です。

     

     

    *************************************************

     

     

     

     

     

  • 脛腓骨(けいひこつ)骨折

    猫のはなし 2018年07月16日

     

     

    脛腓骨は「足のスネ」の部分の骨です。

     

     

    太い脛骨(けいこつ)と細い腓骨(ひこつ)の2本の骨で構成されます。

     

     

    落下事故で後ろ足を着けなくなってしまった猫ちゃんが来られました。

     

     

    IMG_3638 IMG_3637

     

    脛腓骨が骨折しています(レントゲン検査)。

     

     

    このままでは歩けませんので手術となりました。

     

     

    IMG_2290 IMG_2288

     

    髄内ピンと創外固定という装置を使って整復しました。

     

     

    手術の翌日には足をついて歩いてくれるようになりました。

     

     

    とてもお利口でご家族にもとても可愛がられています😸

     

     

    手術後2ヵ月半で装置を全て外すことができました。

     

     

    IMG_2712-2 IMG_2713-2

     

     

    今は元気に走りまわってくれています。

     

     

     

    **************************************************

     

     

     

     

     

  • 大腿骨(だいたいこつ)骨折

    猫のはなし 2018年06月09日

     

     

    大腿骨は後ろ足の太もも部分の骨です。

     

     

    大腿骨を骨折してしまった子猫ちゃんが、

     

     

    かかりつけの先生のご紹介でこられました。

     

     

    術前b

     

    大腿骨の中央で折れていて、一部骨が欠けてしまっています。

     

     

    このままでは歩けませんので手術となりました。

     

     

    直後a

     

    創外固定という装具と髄内ピンで固定します。

     

     

    IMG_0332

     

     

    手術後は歩くこともできるようになり、

     

     

    夜にはごはんも食べてくれました。

     

     

    直後c

     

     

    固定具(赤矢印)は包帯でカバーしています。

     

     

    若いので治りもとても早いです。

     

     

    術後3ヶ月a

     

     

    固定具とピンは手術後 1ヶ月半ですべて取り外すことができました。

     

     

    ESF抜釘日

     

     

    いまは元気に動きまわってくれています 😸

     

     

     

     

    *********************************************

     

     

     

     

     

     

     

  • 会陰(えいん)ヘルニア

    犬のはなし 猫のはなし 2018年06月05日

     

     

    お尻のまわり(会陰)の筋肉が薄くなり、筋肉の隙間から、

     

     

    おなかの臓器や脂肪が飛び出す(ヘルニア)病気です。

     

     

    症状はさまざまですが、見た目でお尻のまわりが膨らみます。

     

     

    その他、便や尿が出にくくなるなどの症状もあります。

     

     

     

    IMG_2945

     

     

    写真のワンちゃんは、お尻の右側がぽこっと膨れています。

     

     

    毛を刈るとよくわかります ↓

     

     

    IMG_3027

     

    IMG_3026

     

     

    ヘルニアは両側に発生することもあります。

     

     

    治療は多くの場合、飛び出した臓器を元に戻し、

     

     

    あいた筋肉の隙間を縫い閉じる手術が必要になります。

     

     

    IMG_3029

    (飛び出していた内臓脂肪)

     

     

    IMG_3028

    (あいた筋肉の隙間を閉じるところ)

     

     

    この病気の発生には男性ホルモンが影響するため、

     

     

    去勢していない雄のワンちゃんは去勢手術も同時に行います。

     

     

    IMG_3076

    (手術後の様子)

    IMG_3077

     

     

    高齢になって便がしづらいなどの症状が見られた場合は、

     

     

    動物病院を受診されることをおすすめいたします。

     

     

    写真のワンちゃんも手術後は元気に過ごしてくれています。

     

     

     

     

    *************************************************

     

     

     

     

     

     

  • 腹壁(ふくへき)ヘルニア

    猫のはなし 2018年05月01日

     

     

    おなかの壁(腹筋)に穴があいて、臓器が皮膚の下に出ている病気です。

     

     

    交通事故などのおなかへの強い衝撃で、腹筋の一部が破れてしまい、

     

     

    本来おなかの中にあるべき臓器(腸や膀胱など)が皮膚の下で飛び出してしまいます。

     

     

    外傷性(がいしょうせい)腹壁ヘルニアと言います。

     

     

    今回は外から戻ってきたら、おなかが膨れている、というネコちゃんです。

     

     

    20120610141146278001

    (点線が穴からでてきたた腸の一部)

     

     

    レントゲンや超音波検査で診断します。

     

     

    治療には、飛び出した臓器をおなかの中に戻し、

     

     

    あいてしまった腹筋の穴を縫い閉じる手術が必要です。

     

     

    写真のネコちゃんも手術後は元気に退院しました。

     

     

    *********************************************

     

     

     

     

     

     

  • 臍(さい)ヘルニア

    猫のはなし 2018年04月18日

     

     

    わたしたち人間や犬猫など哺乳類の胎児は、

     

     

    おなかの筋肉のおへそ部分に、へその緒を通すための穴が開いています。

     

     

    生まれた後に本来とじるはずのこの穴が閉じきらず残ってしまい、

     

     

    お腹の中の脂肪や腸などが飛び出たものを臍ヘルニアといいます。

     

     

    大きなヘルニアは手術で縫い閉じる必要があります。

     

     

    IMG_1515

    (点線枠内がヘルニア。腸が皮下に飛び出た状態)

     

     

    写真のネコちゃんは生後からでべそだったとのことですが、

     

     

    徐々に膨らみが大きくなり来られました。

     

     

    飛び出した小腸をおなかに戻し、開いた穴を縫い閉じます。

     

     

    IMG_1517

     

     

    写真のネコちゃんも手術後は問題なく生活しています。

     

     

    *****************************************

     

     

     

     

     

     

     

3 / 41234